比較・最終章(8巻)

最終章 暁に甦る(承前)

 

(1)纏向の玉垣宮に

雑誌
文庫
黄金(きん) 黄金(こがね)
十市(とうち) 十市(とおち)
綾絹 生絹
贈り物 贈りもの
足繁く 足しげく
和邇領内に移れば。 歌凝姫が和邇領内に移れば。
敷いて しいて
午前 昼間
身の回り 身のまわり
紅汁
暖かい あたたかい
  そのためなら、歌凝姫よりもさらに美しい姫をこの手で捜し出して、大王に当てがってもいい!

 

(2)ひそやかな謀叛

雑誌
文庫
まじった まじる
三輪大王(みわのおおきみ) 三輪の大王
怨嗟(うら) 怨嗟(うらみ)
伸びる 延びる
賑やかな にぎやかな
ありましたか おありか
日継ぎの王子 日継ぎの王(みこ)
見え透いた 見えすいた
死に物狂い 死にもの狂い

 

(3)独りのとき

雑誌
文庫
ごく弱い霊力をもつが 霊力をもつ神人だが
浮かべながら うかべながら
二十 二十歳
その気配  彼のこわばった気配
早馬がわりの……」(中略)「早馬がわりのわたしには、 早馬がわりのわたしには……」(中略)「わたしには、
  「女首長どのが闇見を……」
立ちつくしていたのかもしれない 立ちつくすばかりだったのだ
御影とその子どもたちの行方を告げた 御影とその子どもたちが淡海にいると告げた

 

(4)春の嵐

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押しつつむ おしつつむ
嘘ではなかったのか……。 聞きちがいではなかったのか……。
緑濃い夜風が 透きとおるような夜風が
孕んでいるときだけは、ほかの女に手をだすものではない 孕んでいるときは、新しい女に手をだすものではない
首もと 首すじ
おだやかな気性と華やかな容貌とあいまって おだやかな気性と華やかな容貌があいまって
佐保彦はおもわず歌凝姫を抱きしめた 佐保彦は口封じのために歌凝姫をつよく抱きしめた
赤かった 赤く染めていた
走り寄ったとたん 走り寄るやいなや
目を瞑った おちつくために目を瞑った
もしかしたら俺に会うために?
「なにかあったのか」
なにがあったのか。
「どうしたんだ、いったい」
受けいれなければならない 受けとめなければならない
浮かべながら うかべて
押さえた 抑えた
全身に怒りを漲らせ これまでは全身に怒りを漲らせ
庇っていたと 庇っているように見えた、と
なんの前触れもなく、ふいにいった なにひとつ説明せずに、そういった

 

(5)あかされる伝説

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来るという闇見 来るということ
表だって母を話題にしたことはなかった とうに母に歩みよろうとはしなくなっていた
それはまさか……! それはまさか……
前巫女 前巫女姫
泣きさけびながら産婆が子を取りあげたとき あまりのことに気を失いかけた産婆が、なんとか子を取りあげたとき
前巫女姫 妹姫
前巫女姫 巫女姫
続いているようだった 続いているようですな
及ばぬところで、畏れられていた 及ばぬ運命を背おい、翻弄ばれた
知ってしまったのだろうか 知ってしまったにちがいない
若葉の匂い 木々の匂い
老木というよりも布のように 今にも枯れ朽ちる老木のように

 

(6)大闇見戸売

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意味さえ 言葉さえ
繰り返す 繰りかえす
身の周り 身のまわり
幾筋 幾すじ
憎い男の子に 憎い男の、子に
ふと胸をよぎったのだ ただ胸をよぎったのだ
白い腕をひろげて 白い腕をさしのべて
すべてが いくつもの幻影が
押し流して 押しやって
見通したい 見とおしたい
囁かれていたのだ ひそかに囁かれていたのだ
思えた 思われた
死を悼んでいる 死を悼んでいる子どもたちのうち
そう王子は そう、王子は

 

(7)佐保の王

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文庫
切り返す 切りかえす
その死が  その死を迎えるのが
くり返し くりかえし
真澄でありまだ会ったこともない 真澄であり、まだ会ったこともない
かわいそうだ 妹がかわいそうだ
押さえ おさえ
にわかに湿り 湿っており
合わせ
目を感じる 視線を感じる
なぜ!? なぜ。
あの人というのは あの人……
浮かんだ うかんだ